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感染者初確認から2年経過し・・・
国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから、約2年が経過しました。
2020年4月に初めて緊急事態宣言が発令され、産業界では業界、規模にかかわらず否応無しに感染対策への対応を迫られました。
2022年2月現在ではオミクロン株を中心とした第6波と言われる感染爆発が続いており、今後もまだまだ気の抜けない状態が予想されます。
少し時間が経過したということもあり、各企業における新型コロナウイルス対応に関しては一通り方針が固まってきた状態に思えます。
IT企業を中心とした現在の働き方や方針、また新型コロナウイルスによって新たに生まれたニューノーマルな働き方において私自身が感じた新たな課題を本日はご紹介していきたいと思います。
IT企業は概ねテレワークを活用した働き方を推進
私が所属するIT業界では基本的にテレワークを活用した働き方を推進する企業が多いと感じます。
いくつか例を合わせてご紹介して行きたいと思います。
富士通
富士通株式会社は2020年7月に新たな働き方「Work Life Shift」を推進すると発表しました。
(主な取り組み)
- コアタイムのないフレックス勤務を全従業員に適用
- 月額5,000円の在宅勤務の環境整備費用補助の支給
- 通勤定期代の廃止
- 在宅勤務と出張で対応可能な単身赴任者の自宅勤務への切り替え
- 現状オフィスの50%縮小とサテライトオフィスの拡大
従来2017年4月よりテレワーク制度を正式導入していたこともありますが、富士通には2021年3月末時点で126,400人の従業員を抱えているほどの大企業ですので国内感染者初確認から約半年間でこのプレスリリースを出せることに驚きを覚えた記憶があります。
NTTグループ
NTTグループは2021年9月に「分散型ネットワーク社会に対応した新たな経営スタイル」を推進していくと発表しました。
主にaterコロナの時代を見据え、業務改革、DX、制度見直し、IT環境の整備を進め、富士通と同様にリモートワークを基本とする新しいスタイルへの変革を図るとしています。
(主な取り組み)
- Work from Anywhereを可能とするIT環境の整備
- 業務自動化
- 紙使用の原則禁止
- 全管理職へジョブ型人事制度の拡大
- 転勤・単身赴任を不要とし自ら働く場所を選択可能へ
NTTグループには総従業員数が32万人いるとされ、日本を代表する大企業が転勤の廃止、単身赴任を不要としたことで他の大企業が追随していくような影響も考えられます。
またNTTグループで2020年末にNTTがNTT docomoを子会社化し、2022年1月にはNTTコムウェア、NTT communicationsの2社をNTT docomoの子会社化しています。
2022年7月にはNTT docomoグループでの組織再編を予定しており、これまで以上にNTTグループ内のビジネス連携が加速しIT業界に大きな影響を与えると想定されます。

(出典:NTT docomo)
ヤフー
ヤフーは2022年1月に通勤手段の制限を緩和し居住地を全国に拡大するなどして、社員一人ひとりのニーズに合わせて働く環境を選択できる「どこでもオフィス」を2022年4月より拡充すると発表しました。
2022年1月時点でも約8,000人ほどいる従業員の9割程度がリモートワークで業務をしており、リモート環境でも「パフォーマンスへの影響がなかった」「向上した」との回答が9割を超えていることや、家庭の時間確保、通勤時間の削減による自己研鑽の取り組みなどメリットが多いことから、今回の方針決定に舵を切ったようです。
(主な取り組み)
- 従来は居住地を午前11時にオフィスに出社できる場所としていたがそれの制限を撤廃し日本国内であればどこでも居住可能
- 通勤手段の制限を撤廃し、特急や飛行機、高速バスでの出社も可能
- 片道6,500円であった交通費の上限を撤廃、月あたり15万円の制限は継続
- どこでもオフィス手当5,000円、通信費補助5,000円を支給
- 希望者へ業務用PCとは別にタブレット端末を貸与
ヤフーは以前より新幹線通勤の許可や週休3日制度などIT企業の中でも働き方改革へ積極的な取り組みを実施していた印象です。
今回の発表も非常に興味深いものがありリモートワーク前提であることはもちろんのこと、飛行機での出社も可能にするなど、オフラインとオンラインの融合も重要視した制度設計であると思われます。
リモート環境下での新たな課題
私の会社もそうですが、現在もテレワークを前提とした業務を行なっています。
本格的にテレワークを開始した2020年4月から数えると約2年が経過するわけですが、良い点、悪い点それぞれ紹介して行きたいと思います。
人材教育が困難
2020年度、2021年度といずれも私のチームに新入社員が配属されました。
本来であれば都内の貸し会議室等を利用し、新入社員全員での合同研修や部門における専門知識の研修などをオンサイトで行うものでしたが、2020年度よりすべてオンラインで開催しています。
その後私のいる現場へ配属されることとなりますが、2名の教育を通して感じたことを記載します。
困っている表情に気づけない
事務所で勤務している場合、業務中の表情で声をかけたり、支援することができましたがリモート環境であるためそれができず、結果一人で悩ませてしまう時間が増えたのではないかと感じます。
こういった問題はITツールを活用し、例えばチャットツールなどを利用し、できるだけ開かれた環境を用意することで「困ったらすぐに聞ける」といった体制を整えてあげるべきだと感じます。
「やって見せる」が難しい
リモート環境の場合、WEB会議のソリューションを用いて画面共有をしながら資料を確認といった作業が多く発生すると思います。
以前であれば会議室でディスプレイにつないでサクサクとできていた作業ですが、例えばマクロの入ったExcelファイルをWEB会議を通して実施していくとなるとどうしても通信環境やPCのスペックも影響し、常に少し遅延しながらの作業になってしまいます。
また相手が新人であった場合、そもそもの考え方やファイル内の数字の意味などゼロから教えていくことが多いこともあり、お互い少しストレスを感じながら進めていくことが必要になっています。
テレワークに合った業務とそうでない業務があるため、こういった作業に関しては日程を合わせて実際の会議室で行うなどの工夫が必要だと感じます。
営業現場での課題
営業現場でもリモート環境での良いところ悪いところが存在します。
良い点としてはリモート前提になったことから関係者の日程調整が容易になり、全体的に案件を進めるにあたってのスピードが向上し、また一度にこなせる量も向上したように思います。
この点は経営層との日程調整でも顕著に出ており、従来であれば遅くとも3週間〜4週間ほど前からアポイントの調整をしていた部分が、リモートでの会議が可能になったことでより迅速に対応することができるようになりました。
反対にデメリットについても紹介したいと思います。
顧客の真意を汲み取りづらい
WEB会議での商談の場合、まずはプレゼンテーションを行い、お客様からフィードバックをいただくという形が一般的な流れとなりますが、WEB会議の特性上、どうしても常に特定の誰かが話す状態になってしまうため、すべての参加者がどのように考えているかを満遍なく把握することが困難であると感じます。
訪問し商談をするような状態であれば、実際の会議室のなかで自由に議論ができるため、比較的多くの意見をうかがうことができます。
また商談中の会話だけでなく、会議室までの移動時間、商談後のエレベーターまでの移動時間など、世間話をする時間がありました。
営業にとってこの時間は非常に重要で、たとえば双方に複数の参加者がいた場合にはそれぞれで会話することで状況や思いを把握することができました。
すでに取引があり関係性が深いお客様であればWEBだけでの商談でも問題ないかもしれませんが、新たに取引を始めようとしているお客様であればWEB会議だけでなく、オフラインでの商談実施もうまく組み合わせていきながらお客様の真意を汲み取る努力が必要であると感じます。
まとめ
新型コロナウイルスが発生し約2年が経過しましたが産業界においてはよりデジタル化が進むきっかけになったと感じます。
その先頭を走っているのが本日ご紹介したような大手の取り組みであり、こういった働き方の変革を全体へとつなげていく役割も担っているのではないかと思います。
私自身、大手企業の営業現場でマネージャーに従事していますがこれからもITの目線での課題や現状などをご紹介していけたらと思います。
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